1時限目

終活の時間

元気な今だから考えたい 自分らしい「旅立ち」のかたち
講師:澤 知里さん
(NPO法人「葬送を考える市民の会」代表理事)

澤さんがNPO法人「葬送を考える市民の会」を立ち上げたのは1997年。祖父の葬儀でゆっくりと最後のお別れをできなかった自身の経験から、常識や慣習にとらわれず、本人と家族の思いを大切にした旅立ちの実現を目指して活動を始めました。


「葬送を考える市民の会」では、葬儀のあり方を考える講座やシンポジウムのほか、自分の最期についてざっくばらんに語り合うおしゃべりサロンやワークショップなども開催しています。「旅立ちの衣装ファッションショー」「入棺体験」などのユニークなイベントが写真で紹介されると、セミナー参加者にも思わず笑みがこぼれました。

本人も家族も納得できる旅立ちのために、澤さんはエンディングノートを作成することを勧めています。「書くことで今までの人生を振り返り、これからの生き方を考えるきっかけになる」として、ノートの選び方から書いておくべき内容、保管場所まで、実例を交えてわかりやすく解説してくれました。

澤さんは最後に「葬送を考える活動は祖父がくれたプレゼント。死は終わりではなくそこから始まることもあるし、死について考えることで生かされている意味を知ってもらえれば」と締めくくりました。

〈授業のまとめ〉

エンディングノートを活用して
自分らしい旅立ちを実現しよう!

  • まずは心の準備と情報収集。
    そして相談できる人を見つけましょう
  • 規模、費用、自分らしさの演出…お葬式に決まりはありません
  • 時とともに考えは変わるもの。何度も書き直すつもりで
  • いざという時に家族がすぐわかる場所に保管しましょう

2時限目

住まいの時間

終のすみかを見つけるためにライフステージに合わせて住まいを考えよう!
講師:小番(こつがい) 一弘さん
(NPO法人「札幌高齢者住まいのサポートセンター」代表)

13年前に東京から札幌へ帰郷し、認知症の母親の介護にあたっている小番さん。同じく認知症でケアハウスからの退出を余儀なくされた伯母の住まい探しに苦労した経験から、高齢者と住宅のマッチングを目指して「札幌高齢者住まいのサポートセンター」を設立しました。


道内における高齢者向け住宅は、以下の9種に分類されます。

入所条件が要介護1以上
  • 特別養護老人ホーム
  • 老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 認知症高齢者グループホーム
自立生活タイプ
  • 一般高齢者賃貸住宅
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 住宅型有料老人ホーム
共同生活タイプ
  • 介護付有料老人ホーム
  • 経費老人ホーム(ケアハウス)

〈授業のまとめ〉

自分で動けるうちに見て歩き、
将来の住まいをイメージしておきましょう!

  • 施設の見学ツアーや相談会にどんどん参加してみましょう
  • 住まいの条件の優先順位を決めておきましょう
  • 自宅の整理も今から進めていきましょう

実際はこれらのほとんどが空き待ち状態の上、介護保険法改正により来年度から特別養護老人ホームの入所条件が要介護3以上に引き上げられる予定です。有料老人ホームは入居一時金が何千万円もする所から無料のところまでさまざまですが、年金不安も続くなか、月額費用の負担も小さくありません。ちょっと不安げな参加者のみなさんに対して小番さんは「今すぐ入居の必要はなくても、元気なうちからたくさんの施設を見て回ることが大切。設備やサービス、価格相場がわかってくれば、自分が暮らしたい施設、受けたいサービス、優先させたい条件などをイメージしやすくなります」とアドバイス。「札幌高齢者住まいのサポートセンターでも、施設見学ツアーや身寄りのない方の保証人対応、今住んでいる家の処分や家財整理など、など幅広い相談に応じているので、気軽に相談してほしい」と呼びかけました。

参加者の感想

札幌市豊平区 竹部さんご夫妻

【ご主人】普段から終活について夫婦で話し合っていますが、お葬式のやり方は自由でいいんだと知って目からウロコが落ちる思いでした。登山が趣味なので旅立ちの衣装は登山服がいいな。さっそくエンディングノートを書いてみようと思います。

【奥 様】主人は散骨、私は樹木葬を希望していますが、お葬式そのものについてはまだ考えていませんでした。内地にいる娘に大変な思いをさせないためにも、私たちの考えをきちんと書き残しておかないといけませんね。

札幌市手稲区 谷越さん
夫が他界して一人暮らしですが、2人の娘にも心配をかけたくないし、今後の住まいのことが気になっていました。セミナーを通して費用や入居条件など現実の厳しさを知りましたが、元気な今のうちから準備を始めるきっかけにもなったと思います。
札幌市西区
夫婦2人暮らしで子どもがいないので、お葬式やお墓のことが気になりつつも、今まであまり話題にしてきませんでした。お葬式の簡素化や自由な演出といった最近の傾向について伺い、自分たちらしい旅立ちを夫婦で考えてみたくなりました。

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