写真を通して少しでも多くの人が
漁師に対する憧れを
持ってほしいと思います。
神野 東子 さん
船上カメラマン
釧路市出身。幼い頃から写真を撮るのが好きで、高校時代は写真部に所属。その後、札幌の大学に進学し、一般企業に就職する。
趣味だった写真撮影を仕事にし始めたのは2010年頃。
翌年に帰釧。パンフレットなどの商業写真を撮影していたが、14年から漁師にフォーカスを当てた作品を撮影し始める。
TALK.01
プロカメラマンとの
出会いが撮影への
思いを再燃
5、6年前。札幌でカメラとは全く関わりのない一般企業に勤めていたのですが、偶然プロのカメラマンと出会う機会があったんです。その方に写真の撮り方を教わるうちに、撮影が好きだったことを思い出しました。その頃、二足のわらじで撮影をしていましたが、後に本格的にカメラマンとして生計を立てていくことになったんです。
港や船での写真を中心に撮影し始めたのは、人にフォーカスした写真を撮りたいと思い始めた3年ほど前。
釧路で活躍するさまざまなジャンルの方に出会う中で、漁師さんとの出会いもありました。初めて水揚げの現場を撮影させてもらったとき、釧路に生まれ育ちながら漁師という職業の魅力を全く知らないことに気がついたんです。それが漁の現場を撮るという魅力に引き込まれた瞬間でした。
昨年から何度か市内で写真展を開いていて、来年は札幌でも予定しています。
TALK.02
船上で触れる
漁師という職業の
過酷さと魅力
今までに撮影した漁は、秋サケ、トキシラズ、ウニ、シシャモ、ホッキ、コンブなどです。魚種によっても漁の仕方が全く違い、長い漁であれば6~8時間は船に乗ります。
手足は靴下を何枚履いても凍えますし、特に冬は海に落ちたら終わり。常に命がけの厳しい世界です。けれどそんな過酷な現場で漁師さんたちは力仕事をしているんです。とてもカッコイイなと思います。
撮りたい表情は人によって違い、笑顔だったり真剣な表情だったりとその人の一番カッコイイシーンを収めるように心がけています。
また個展を開いたときに「亡くなった主人が船を下りてからも、海に通っていた」という話をしてくださった方がいて、生涯愛してしまうような魅力が海にはあるんだなと思いました。
TALK.03
人生の先輩から
若者たちへの
メッセージ
漁師はやはり担い手が少なく、若者の魚離れも深刻。けれど写真を通して魅力や大変さを知ってもらうことで、食卓の魚がどうやってここに並んでいるかを意識してもらえればいいなと思っているんです。
一番の希望は将来漁師を目指す子供が登場すること。
写真を通して少しでも多くの人が漁師に対する憧れを持ってほしいと思います。暗い話題も多いですが、私はブレずに活動を続けていくつもりです。
私の新聞活用術
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水産関係の 記事には 特に注目
新聞は時間のあるときに毎日読むようにしています。やはり漁業の現場を見ている者として、水産関係の記事は気になりますね。魚の値段が記事になることも多くあります。 しかし誰がどのように獲っているかを知っているので、高いとは一概に言えなかったり、残さず食べるように心がけたりしています。
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精一杯活動 している人の 記事で 信念に触れる
活動を始めたり継続したりと努力している人の記事は地域にかかわらず惹かれます。 私自身もまだまだ駆け出しなので、刺激を受けたり私もがんばろうと思ったりします。 紙面を通して、その人の信念に触れられる機会になりますね。