少しずつ経験を重ねて、
お菓子作りの実力をつけて
楽しく働いていきたいですね。

vol5

鈴木芹菜すずきせりなさん25歳

Patisserie noel パティシエ

1992年生まれ。釧路市出身。釧路東高校卒業後、釧路短期大学の生活化学科食物栄養を専攻。食品衛生について学び、ケーキハウスノエルに就職する。札幌で行われた｢北海道洋菓子作品コンテスト大会｣のマジパン仕上げデコレーション部門に出場。2度目となる今年、銅賞を初受賞した。10月には国内最高峰の大会｢マジパン・ケーキショー｣にも参加する。

TALK.01

なぜ釧路ではたらくの?

お菓子作りに目覚めたのは中学生のときです。作ったお菓子の食べ比べがはやっていて、自宅で作るようになりました。最初に作ったお菓子はチーズケーキ。それから自宅で作ることが増え、将来を考えたときにパティシエになりたいと思うようになったんです。高校卒業後、釧路には製菓学校がなかったため、少しでも食品に関係のある釧路短期大学の食物栄養を専攻しました。就職する際には、まず市内にある洋菓子店の受賞経験やどんなお菓子を作っているかを調べることに。そこでコンテストなどの実績もある、ノエルへ就職を決めたんです。釧路での進学や就職を選んだのは奨学金などを借りていたため、自分の力で無理なく生活していくため。また冬はスノーボードをすることや温泉に行くことが趣味なので、道東の環境を楽しめています。あったらいいなと思うのは洋菓子に関係する釧路だけのイベントですね。駅周辺が寂しいと感じてしまうので、北大通で開催できれば地元の人や観光客も集まって楽しいイベントになるかもしれません。
6月には札幌のコンテストで銅賞を取ることができました。今度は10月に東京で行われる大会にも参加しようと考えていて、仕事の合間にバラなどを作る練習をしています。その大会で賞を持ち帰るのが、今の目標です。

TALK.02

道東のこと

私は食べ歩きが好きで、帯広や北見にも出かけてケーキ屋さん巡りをするんです。カットされた断面や飾りの美しいケーキはガラス越しでも食欲をそそるので勉強になります。また生クリームはお店によって脂肪分のブレンドが変わるので口当たりが違ってくるんです。ですから食べてみて｢このケーキはキレイだけど重たいな｣などと、考えながら自分にとっての理想を探しています。
食べ歩いて感じるのは、釧路の人はケーキを食べる機会が少ないということですね。特に帯広は大企業もありますが、小さい店舗もたくさんあります。工場と手作業では、ケーキの口当たりや口どけも違うので、高くても美味しいと思うケーキを釧路の人にも楽しんでほしいですね。

TALK.03

仕事のこと

ノエルは山本浩行オーナー自身もコンテストの受賞経験があるので、働いていてとても勉強になります。1個のケーキに対してもこだわり抜いていて、少しでも見栄えが悪ければ店頭に並ぶことはありません。本当に美味しくて、見た目も美しいケーキを厳選しているんです。また、東京ではやっているお菓子を釧路の人にも食べてほしいというオーナーの思いから｢サバラン｣など、珍しいケーキも置いています。ですから釧路でも都会の流行を追っていけるんです。そういった新しいものを追求する姿勢や仕上げる技術を間近で見られる環境が、大会での受賞につながったのだと思います。

TALK.04

出店や海外進出など
未来を見据えて
この場所で精一杯

働き始めて今年でやっと約5年目になりました。パティシエは窯を任せてもらえて1人前だといわれます。私は現在、お店で仕上げのデコレーションを担当していて、パティシエとしてはまだまだ駆け出しです。けれど細かな作業も楽しくて、マジパンなどで作るデコレーション作業はやりがいを覚えますね。
将来的にはパティシエとして都会へ行ったりさまざまなお店で経験を積んでみたいですし、洋菓子の本場であるフランスにも修業へ行ってみたいです。最終的には自分のお店を持ちたいとも思っています。山本オーナーのように｢釧路の人たちに美味しいケーキを食べてほしい｣という思いもあるので、その場所は釧路になるのかもしれません。どれも遠い未来の話で想像もつきませんが(笑)。しかし5年でようやく仕事がひと通り理解できるようになってきました。まずはこの場所でできることから少しずつ経験を重ねて、お菓子作りの実力をつけて楽しく働いていきたいですね。