大学の受験から入学までに掛かる費用だけでも全国平均約152万円(※)といわれていますが、入学後は授業料や施設費などの納付金、自宅外通学の場合は仕送りなども必要になってきます。学費を貯蓄で賄えない場合は奨学金という手もありますが、学力や家計基準などの審査に通らない場合もあります。そこで注目していただきたいのが教育ローンです。
教育ローンは使い道が教育資金に特化された融資商品で、進学先への納付金だけでなく受験に掛かる費用や塾・予備校の授業料、下宿代などの住居費、教材費、海外留学費なども対象になります。教育ローンには国のものと民間金融機関のものがありますが、国が中学卒業以降を対象とするのに対して、民間は保育園や幼稚園から対象になるのも特長です。また、国の教育ローンは、金利は低いものの融資上限が350万円。一方民間の金利は国より高いものの、上限1000万円など融資限度額が大きい商品もあります。私大医学部など学費が高い進学先、子どもが多いご家庭などは検討してみてもよいのではないでしょうか。
教育ローンには一括借入型とカードローン型があります。一括借入型は借入額を決めて一回だけ融資を受け、月々決まった額を返済していくため、返済計画が立てやすい反面、融資全額を使わなかったとしても借入分の利息を払う必要があります。カードローン型はあらかじめ融資額を設定し、その範囲内で必要な額だけカードで借り入れるもの。借りた分だけ返済すればいいので使い勝手はいいのですが、借り入れの際には教育上の使い道を確認できる証明書が必要です。
教育ローンを組むなら受験前から家族できちんと話し合うことが大前提。子どもが希望する進学先で掛かる学費とわが家が出せるお金を子どもにも伝え、あらかじめ必要な融資額を決めることが大切です。自宅や車のローンを抱え、下の子どもも進学を控えているというご家庭も多いことでしょう。家計のバランスを考え、無理のない返済計画を立ててほしいと思います。返済に当たっては、在学中の支払いは利息のみで元金の返済が猶予される「元金据置返済」という方法があり、子どもが就職したら親子で一緒に返済するなど家計の状況に合わせて返済することができます。
教育ローンを選ぶ際は金利も大切なポイント。固定金利か変動金利か、保証料込みか別途上乗せか、金融機関によって異なるのでいろいろな商品を比較検討してみることをお勧めします。
夢は全ての人に平等です。家計の事情で子どもが夢を諦めなくて済むよう、保護者の皆さんには教育ローンをはじめ学費を賄う方法をもっと勉強してほしいですね。子どもも家計の現状と融資の必要性を理解し、自分の将来を思う保護者の気持ちを知れば、自分の将来について真剣に考えるようになりますから、早いうちから家族で話し合ってほしいと思います。教育ローンを上手に活用して、未来を担う子どもたちがひとりでも多く幸せになれるよう願っています。
※全国大学生活協同組合連合会「2014年度 保護者に聞く新入生調査」より