村田:私がスカウトだった2008年、沖縄にすごいフォワードがいると聞いて九州リーグの試合を見に行ったら、一人だけ大きな目立つ選手がいた。それが上原でした。カラダの割にスピードがあるプレーに惹かれ、声をかけて札幌の練習に参加させました。
上原:初めはどうリアクションしていいかわからなかったですけど、評価してくださったのはうれしかったですね。
村田:初めての練習では、ジャンプ力、打点の高いヘディングに秀でたものを感じました。ただ消極的でしたね。プレッシャーをかけられたら、バックパスばかりで。
上原:沖縄では小学校からずっと知り合いばかりのチームで、厳しいサッカーは初めてでした。満足にボールをキープできず苦戦しました。
村田:私は2010年にコーチに就任して、2年目の彼にはかなり厳しく指導しました。けれど、なかなか返ってくるものがなかったんですね。
上原:1年目で25試合に出て、得点も3点取って…2年目も気合いが入っていましたけど、ちょっと甘さが出たのかもしれません。
村田:彼はすごく優しい子で、それまでライバルと争うことがなかったためか、自分に厳しくできなかったんですよ。
上原:1年目の途中、村田コーチに沖縄へ帰されそうになったことがあります。「そろそろ試合に絡まないと沖縄に帰すぞ」と。それから必死に練習して、なんとか出場できるようになりました。
村田:そういったいろんな事もあって、彼は今、着実に成長し、育成されています。それは、彼の奥さん、ご家族、うちのスタッフ、サポーターの方々など、いろんな人の力もあってこその成長なんですよね。
上原:もっと試合に出場してチームの勝利に貢献することで、自分の成長を確かめたいし、サポーターの方々に見てもらいたいです。そして、未来の目標としては30歳までは現役を続けて、子どもにサッカーをしている自分を見せたいですね。サッカー選手としての父親を覚えてほしいと思っています。