元気な今だから考えたい 自分らしい「旅立ち」のかたち

葬儀のスタイルもお墓の形も多様化する中、人生を自分らしく締めくくるための準備=「終活」を始めるプラチナ世代が増えています。
いつ来るかわからない「その時」のために、元気な今こそ「自分らしい旅立ち」について考えてみませんか?

葬儀を考えることは、人生を見つめ直すこと。

親や配偶者との別れが現実味を帯びてくるプラチナ世代。悲しみや不安、看病疲れなどで気が動転している中、葬儀社に言われるまま葬儀を執り行い、時間が経ってから「こうすればよかった」と後悔した経験から「自分の葬儀は自分らしく、家族の負担を小さくしたい」と考える人が多いようです。

人の死に際して定められているのは火葬と行政手続きに関することだけで、葬儀に関する決まりは何もありません。宗教上の儀式を行わないのであれば、棺と搬送用の車、お骨を納める入れ物を用意し、あとは希望の場所と人数、予算の範囲で工夫すればよいのです。「何もせず自宅で家族と一夜を過ごしたい」「派手なことが好きだからにぎやかなパーティーで旅立ちたい」「得意なカラオケの歌を会場に流してほしい」など、アイデアは自由。中には「多くの友人に見送られたいけれど、今の自分には仕事上の付き合いしかない」と気付き、趣味やサークル活動に積極的に参加するようになったという人も。人生の最期について考えることは、そこまでどう生きるかを考えることであり、人生を変えるチャンスにもつながります。

エンディングノートを書いて見ましょう。

とはいえ、自分で取り仕切ることができないのが葬儀というもの。旅立ちに関する希望を残された人々に託し、滞りなく葬儀を行ってもらえるよう、今のうちからエンディングノートを作っておいてはいかがでしょう。

エンディングノートには葬儀の場所や規模、費用、宗教形式の有無、連絡先リストなどのほか、音楽や花、遺影写真などの指定があれば記入しておきます。遺言書がある場合はその旨も記載しておくと、遺産トラブルを防ぐ上でも安心です。出生からのあゆみを整理しておくこともお勧め。幼い頃の思い出や周囲への感謝、やり残していることなどが見えてきて、残りの人生を悔いなく生きようという意欲が湧いてくることでしょう。

自分も家族も納得できる「遺骨の弔い方」とは?

もう一つ、エンディングノートに加えておきたいのが遺骨の弔い方。少子高齢化や人口の都市集中などにより家墓の継承が難しくなっている昨今、継承者を必要としない合同墓や永代供養墓、オブジェやアクセサリーに加工する手元供養など、実に多様化しています。お墓を生前購入する場合も「墓参ついでに家族旅行を楽しんでほしい」と遠方の観光地を選んだり、「冬も快適に墓参できるように」と室内霊廟を選ぶなど、残された人に配慮した選択も増えているようです。

葬儀と同様、遺骨の弔い方にも決まりはありません。とはいえ本人と家族の思いが食い違うと後々トラブルにもなりかねません。「故人の遺言どおり散骨したけれど、やっぱり遺骨を残して弔いたかった」と残された人が悲しみを引きずるケースもありますから、元気で時間があるうちに本人と家族がよく話し合い、ともに納得できる弔い方を決めておきたいもの。こういった話題は子どもからは切り出しにくいものですが、人生の先輩であるプラチナ世代から「こんなふうに見送ってほしいけどどう思う?」と気軽に相談を持ちかければ、家族の会話が生まれるきっかけにもなります。


[澤 知里さんからのアドバイス]

葬儀は自分の生きざまそのものであり、残された人の気持ちに区切りを付ける節目でもあります。遺骨の弔い方も含めて家族とよく話し合い、エンディングノートなどに残しておくことをお勧めします。

講師 澤 知里 さん
NPO法人「葬送を考える市民の会」代表理事
住所:札幌市中央区南1条西9丁目 札幌19Lビル 202号
電話:011-261-6698

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