釧路人 脈々と受け継がれるアイヌの手仕事

郷右近 富貴子(ごうこん ふきこ)さん
vol20

郷右近 富貴子ごうこん ふきこ さん

アイヌ文化アーティスト

1975年生まれ、阿寒湖アイヌコタン育ち。アイヌ料理の店 民芸喫茶「ポロンノ」を家族で切り盛りしながら、祖母などから継承するアイヌの手仕事を続ける。2017年、ビームスの衣食住にまつわるアイテムを展開するレーベル<fennica(フェニカ)>とコラボレート商品づくりを進め、2019年10月に商品発売イベント(東京・新宿)を開催。コレクション「アイヌクラフツ」として販売をスタート。姉の下倉絵美と結成した姉妹ユニット「Kapiw & Apappo」としてアイヌ音楽のライブ活動も行っている。

TALK.01

どんなお仕事をしていますか?

 阿寒湖畔にあるアイヌコタンで育ち、家族から教わったアイヌの文化を私なりの方法で製作しています。民芸喫茶「ポロンノ」ではアイヌ料理を提供したり、アイヌの歌のライブやアイヌ文化の講習をしたりしています。ブレスレットなどの工芸品は、元々祖母から教わったことを応用して作っていたものでした。一昨年にビームスのバイヤーと出会う機会があり、ブレスレットが目に止まって、アイヌクラフツのコレクションに加わることになったんです。

TALK.02

どのように作っているのですか?

 祖母は浦河に住んでいて、阿寒湖に来ては手仕事や歌などを教えてくれました。ブレスレットはもともと、「エムシアッ」という刀掛けの技術を応用したものです。女性が男性に作るもので、オヒョウやシナなどの木の皮、イラクサの繊維などを糸にして編み上げています。さまざまな自然素材を裂いて糸を紡ぐカエカの作業は大変だけれど、昔ながらの手仕事を基本に、自分なりのアレンジを加えながら一つ一つ丁寧に作って行けたらと思っています。

TALK.03

文様の製作について、教えてください

エムシアッの文様は、伝統的なものや自分なりのアレンジなど楽しんで製作しています。ノルウェーの少数民族「サーミ」の工芸品を参考に、シカの角やシカの腱を使って仕上げたものもあります。今を生きる私たちに、アイヌ文化を残し伝えてくれた、祖母を始め、諸先輩方に心から感謝したいです。

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