釧路人 世界で唯一のムックリ製作者

鈴木 紀美代(すずき きみよ)さん
vol5

鈴木 紀美代すずき きみよ さん72歳

ムックリ演奏・製作者

1947年、標茶町生まれ。71年、父・秋辺福太郎のムックリ製作を手伝い始める。88年ムックリ製作者として独立。95年竹工芸科職業訓練指導員(アドバイザー)の資格取得。翌年より、全国でムックリの製作や演奏指導を通してアイヌ文化の継承と交流に努め始める。2001年北海道ムックリ演奏大会優勝。02年世界口琴会議ノルウェー大会参加。06年世界口琴会議アムステルダム大会参加。11年世界口琴大会、製作の部(金属以外)最優秀賞受賞。14年世界口琴会議アムステルダム大会参加。

TALK.01

このお仕事をはじめたキッカケはなんですか?

 私が本格的にムックリを作り始めたのは、1971年頃です。父はアイヌ民族として伝統文化に取り組んでいましたが、それまで全く無関心でした。家計の足しになるならと手伝い始め、10年経った頃には音色に強く惹かれていました。手伝いではなくもっと良い音色を出せるようにと気持ちを込めて作るようになった頃ですね。1988年には父の跡を継いで、ムックリ製作者として独立することができました。今では50年以上関わっています。ムックリはアイヌの伝統楽器として各地で普及していますが、製作者は全国で私ひとりです。本州から青竹を仕入れて大まかな形ができてから、音色などの仕上げ作業が主な私の仕事ですね。以前は日に300本くらい仕上げていましたが、最近は体力も続かず日に150~200本程度にしています。

TALK.02

世界口琴大会ではどんな経験をしましたか?

 世界口琴大会に参加したのは、その前年に北海道ムックリ演奏大会で優勝したのがキッカケでした。世界には同じ竹製でも膨大な種類があって、鉄製もいれると数え切れないほど!ムックリしか知らなかった私には衝撃でした。中でも国民楽器として常に持ち歩くサハ共和国には驚きました。交流の中で互いの口琴を試したり交換したりするのですが、ムックリの演奏が一番難しいといわれます。世界口琴大会で同じ竹製でも簡単に奏でられるのを見て新しい口琴を考案することもできました。

TALK.03

これからのことについて

 今後は、子どもたちの指導で使う予定です。これからの希望として製作を継ぐ人が出てきて欲しいと思っています。釧路の方にももっとムックリに親しんでほしいですし、私にできる範囲でムックリを通したアイヌ文化の継承と交流に努めていきたいですね。

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