北海道らしい身近でユニークな環境保護活動を表彰する「北海道新聞エコ大賞」。
今回新設された小・中学校の部を含む3部門に計48点の応募があり、大賞計2件、奨励賞計8件の受賞者が決まりました。
自然エネルギーやリサイクル、生物多様性など多岐にわたる各受賞者と、その活動内容をご紹介します。
<2013年度北海道新聞エコ大賞 審査委員会>
●審査委員長 / | 小林三樹氏(財団法人北海道環境財団理事長) |
●審査委員 / | 大原昌宏氏(北海道大学総合博物館教授) 菅井貴子氏(フリーキャスター・気象予報士) ビアンカ・フュルスト氏(環境カウンセラー・札幌市環境保全アドバイザー) 広瀬兼三(北海道新聞社取締役経営企画局長) |
建築内装工事でいらなくなった机や本棚、工場で発生する端材などの産業廃棄物に手を加え、デザイン性の高いリノベーション家具を生み出しています。
代表の大森和彦さんが内装工事などで出る廃材を「なんとか再利用できないか」と2008年3月から始めた取組みで、輸送用パレットを活用したテーブルが最初の家具です。
飲食店などの店舗設計、施工を手掛けた経験を生かし、パーテーションやスツールを生み出してきました。
2013年11月に専任スタッフを配置。また、製品ショールームを社内に整備し、ウェブ販売用サイトも一新する予定です。今後は知育玩具の開発にも乗り出します。
大森さんは「一個人、一企業では小さい取り組みかもしれないが、それぞれできることをみんながやれば大きな動きになる」と期待しています。
今後は道内の業者間の廃材利用ネットワークを築きたい考えです。
株式会社マテック(帯広市)
「じゅんかんコンビニ24」
総合リサイクル業としての経験から、古紙や飲料缶、パソコンなど資源物を、24時間いつでも持ち込める無人回収施設「じゅんかんコンビニ24」を展開しています。
2012年10月、札幌市北区を皮切りに、道内12カ所に広がりました。
タッチパネルを操作し、資源物を投入すると重量を自動計測。一定のポイントをためると商品券に交換できます。
エコと利便性を結びつけた発想が評価され、拠点の一部はホームセンター大手ホーマック(札幌)店舗敷地内に置かれ、集客増などの相乗効果も期待されます。
NPO法人NATURAS(なちゅらす)(函館市)
「サケの秘密探検隊」
2005年から、渡島管内八雲町の遊楽部(ゆうらっぷ)川で、小中学生を対象に、サケの生態を通して、海と森の物質循環などを学ぶ年3回連続の宿泊学習プログラムを展開しています。
11月には、遡上して産卵を終えたサケ(ホッチャレ)を観察。12月にホッチャレを目当てに飛来するオオワシなどの希少生物について学び、翌年3月にはふ化したサケの稚魚を通して命の循環を体感します。
チャンチャン焼き作りや雪遊びを通じ地域への愛着を深める狙いもあり、赤石哲明代表は「息長く活動を続けたい」と話しています。
NPO小樽ワークス(小樽市)
「小樽市歴的建築物 保存・再生・活用」
運河沿いの倉庫や旧商工会議所などを舞台に、現代アートを通してそれらの建造物の魅力を市民に再発見してもらう「小樽アートプロジェクト」を毎年開催しています。
道内建築家の先駆けとされる田上義也(1899-1991)が手がけた洋式住宅「坂牛邸」の保存・活用が活動の始まり。
建築家や市民ら約30人がイベント開催や冊子、映像制作を通してスクラップ・アンド・ビルドばかりでは失われてしまう建築の文化的価値を伝え、ひと味ちがう「エコな街づくり」を模索しています。
認定NPO法人北海道市民環境ネットワーク会員有志とロードマップチームメンバー(札幌市)
「北海道エネルギーチェンジ100プロジェクト」
東日本大震災以降のエネルギー危機に際し、省エネ・新エネを促進する道条例の普及に力を入れるとともに、再生可能エネルギー100%の北海道を実現させる数十年単位のロードマップづくりに取り組みました。
メンバーは会社員やNPO職員ら約20人で、昨年からは札幌や帯広などで再生エネに関心のある市民や企業関係者を集めた研究会を開いてきました。
今後は、具体的で実現可能な政策提言の場をつくったり、環境保全の立場から自然環境により負荷の少ないエネルギーの導入について論議、提案をしていきます。
同一の樹種を植える従来の人工緑化と違い、その土地にもともとあった多様な樹種を植えることで、野鳥や昆虫などさまざまな在来の生き物が生息する森づくりを目指しています。
実践しているのは、北海道工業大の岡村俊邦教授が提唱する生態学的混播(こんぱ)・混植法。
自然に近い森を再生するために、周辺の自然林で在来種の種子を集め、ポットなどで育てた苗木を植えます。どの木が残るかは自然の選択に任せます。
2008年に有志8人が設立し、札幌市西区の荒れ地で植樹を始めました。子供のころに樹木を育てた体験は、大人になっても自然を愛する心の育成につながります。
そんな期待を込めて、親子での参加を積極的に呼びかけ、種子の採集から、苗づくり、植樹、育成記録まですべての作業を体験してもらいます。これまでに延べ約200人が参加しました。
宮島豊代表は「同じ木を植える手法では生態系の再生は期待できない。今回の受賞が、多くの人に多様な在来種を植える意味を知ってもらう運動の弾みになれば」と話しています。
Nosy group(ノージーグループ)(札幌市)
「エコそり作りにチャレンジしよう」
遠藤泰秀さんら豊平区のシニア大学「創造学園」同期の男女6人が、冬の月寒公園で、身近な材料を使った「エコそり」作りを子供たちに教える活動に励んでいます。
発砲スチロール製の板を段ボールでくるみ、ベニヤ板で補強し米袋で包んでできあがり。札幌大、北海学園大の学生約20人の協力を得て昨年と今年に2月、同公園の冬の祭りで青空教室を開催しています。
遠藤さんは「私の子供時代は、遊び道具を手作りしたもの。何でも与えられている今の子たちに、物の大切さを伝えたい」と話しています。
富良野市立麓郷小中学校3・4年学級(富良野市)
「富良野市立麓郷小中学校3・4年学級」
小学3年生3人、4年生4人の複式学級。この1年間、「自然について考えよう」をテーマにした総合学習で、ゲームを通して動物の擬態について体感したり、水の貴重さについて学んだりしてきました。
子供たちは食物連鎖の考え方から命の大切さを知り、「自分たちにできることを」と、給食の残り物をなくする運動を始めました。
苦手なものでも必ず一口は食べ、あとはみんなでカバーし合う工夫で1年間、「残り物ゼロ」を続けてきました。
新学期からも新たなクラスで運動を広めていくことにしています。
認定NPO法人北海道自由が丘学園・ともに人間教育をすすめる会(札幌市)
「大都市の中の環境先進基地=エコハウス(スクール)づくり」
中学生を主体としたフリースクール「北海道自由が丘学園」の木造3階建て各階に2005年~06年にかけてペレットストーブを導入して暖房を非化石燃料化し、09年には地域からの寄付などを基に屋上に約3キロワットのソーラーパネルを設置、学園の使用電力の6割をまかなっています。
学園では毎週月曜午後、「地球に生きる科」という独自の科目を設け、環境学習や農業実習に取り組んでいます。
今後はソーラーパネル増設による電力の100%自給や雨水利用、屋上・壁面緑化などに挑戦する計画です。
札幌市立北翔養護学校(札幌市)
「ゴミ減量プロジェクト」
ごみを「ちり紙」、「缶」、「ペットボトル」などの徹底分別し、ビニールやプラスチックは苫小牧の発電施設に運び込み、発電原料にもなっています。
中学部の生徒10人は高等部の11人と共に可能な範囲で社会貢献をしようと、重度の重複障害があり自分で体を動かせない生徒にも職員がその都度意思を確認してごみを分別しています。
ペットボトルのキャップ集めでは職員が考案したキャラクター「キャップマン」をデザインした透明ケースを使い、たまっていく様子が一目で分かる工夫で生徒の達成感を高めています。