北海道新聞エコ大賞

第6回北海道新聞エコ大賞受賞者決定!

10件の環境保全アクションに拍手!
北海道らしく地域に根ざしたテーマで環境保護を実践している活動を表彰する「第6回北海道新聞エコ大賞」
(北海道新聞社主催)3月2日に行われた審査の結果、3部門計27件の応募があり、大賞1件、奨励賞8件、努力賞1件が選ばれました。ユニークな視点や楽しいアイデア、社会に働きかける取り組みなど、それぞれに個性豊かなエコアクションをご紹介します。

<2015年度北海道新聞エコ大賞 審査委員会>

●審査委員長 / 小林 三樹 氏(公益財団法人北海道環境財団 理事長)
●審査委員 / 大原 昌宏 氏(北海道大学総合博物館 教授)
菅井 貴子 氏(フリーキャスター・気象予報士)
ビアンカ・フュルスト氏(環境カウンセラー・札幌環境保全アドバイザー)
寺澤 純(北海道新聞社 取締役 経営企画局長)
企業・団体の部家族・サークルの部小・中学校の部
企業・団体の部
大賞
山のトイレを考える会[山岳トイレ問題の普及啓発・ネットワーク]山のトイレマナー普及で自然を守る

山のトイレマナー普及で自然を守る

登山者による排せつ物や使用済み紙の散乱を防ぐため、山のトイレガイドや持ち帰り袋の配布や清掃登山などを16年前から行っています。その甲斐あってマナー違反はめっきり減少。行政にも働きかけ、トイレが新設された山もあります。「大切な水源でもある山のトイレ問題は日常生活にも関わること。メンバーも活動をきっかけに自然保護を自分の事として意識するようになりました」と事務局長の愛甲哲也さん。今年から8月11日が「山の日」となり、登山への注目が高まる中、さらなる活動意欲を燃やしています。

【審査評】
道内の大自然は気持ちよく楽しみたいもの。施設整備と意識啓発に加え、汚物の背負い降ろしも続けている善意の実績に感服しました。

奨励賞(各10万円)

駒生川に魚道をつくる会
[みんなでつくろう 手作り魚道]

魚が泳ぐふるさとの川を再生

美幌町の駒生川は河川改修によって落差工という段差が多数作られ、魚が遡上できなくなっていました。そこで地域住民や行政関係者、大学生などが協力して「魚道」づくりに着手。木材や石など身近な材料で落差を軽減して多様な水流を生み出すことで、サケやアメマス、ドジョウなど多くの魚が遡上できる川に生まれ変わりました。

【審査評】
子供の頃から遊んだ近くの小川に命の営みを取り戻す。住民が協力し合っている実行力が評価されました。

北海道希少生物調査会
[希少野生動物種の調査研究及び啓発・教育活動]

希少生物の生息状況を調査・発信

希少爬虫類シロマダラやコウモリなどの生息状況を調査。「人と自然の距離を縮めたい」という思いから札幌市円山動物園や北大植物園と連携し、講演やイベントを通じて北海道の自然の価値啓もうに努めています。専門的な調査内容を広く伝えることで一般の関心を高めるとともに、研究機関の情報集積にも寄与したことが評価されました。

【審査評】
道内には人知れずさまざまな生物が生きているもの。近くの自然に目を凝らす若者も増えてほしいと願っています。

努力賞(3万円)

おはよう共同作業所
[着物リサイクル製品作り]

古い着物に新しい命を吹き込む

チャリティバザーで売れ残った中古着物を布草履やあずま袋などにリメイクして再販売。20年にわたるリサイクル活動が評価されました。ものを大切にする心を伝えるとともに、障がいのある利用者に働く喜びを提供している点も意義があります。「今後は洋服など新しい作品づくりにも取り組んでみたい」と夢を膨らませています。

【審査評】
ものを生かす活動を通じて、近隣社会の和と絆を長年培ってきた温かい活動を評価しました。

家族・サークルの部
奨励賞(各3万円)

安岡 時彦さん
[我が家のエコ活動]

エコアクションを日常の一部に

太陽光を活用した節電や雨水の再利用、庭木を夏の日除けに利用し、剪定した枝をまきストーブの燃料にするなど、こまめなエコアクションを日常の一部として実践。冬は家の周囲の雪を踏み固める作業で排雪効率アップと健康増進を両立させています。「健康な体で夢を持って創意工夫する」をモットーに、エコな毎日を楽しまれています。

【審査評】
寒冷地に生きる知恵は無尽蔵にありそう。創意工夫を凝らして楽しんでいる積極姿勢に拍手を送ります。

佐藤 武三さん
[ペットボトル太陽熱温水器]

0円で実践!エコなDIY

不用なペットボトルと発泡スチロールの箱で太陽熱温水器を製作。それぞれ黒の水性塗料を塗って熱吸収を高める、太陽の向きに合わせて角度や位置を変えるなどの工夫で、晴天時の湯温は75℃にも達します。温水は台所の水仕事や洗顔などに使用。他にも風呂の残り湯を使った融雪槽を自作するなど、 エコなDIYを実践されています。

【審査評】
昔はどこの家でも湯たんぽを重宝していました。水が熱を蓄える性質を生かすさまざまな挑戦に期待します。

小・中学校の部
奨励賞(各3万円 図書カード)

札幌市立定山渓中学校
[育てて学ぶ、森のはたらき]

定山渓の未来へ贈る夢の森づくり

定山渓の水源の森にある土場跡地で植林活動を実践。周辺森林と調和した森づくりを目指して、現地に落ちた種を育てた苗を13種ほど植えて育てています。また、三笠緑地のカタクリなどを保護するためのPR活動も展開。森づくりに携わる人々との交流も増え、環境意識が高まりました。未来へ継承される夢の森づくりはこれからも続きます。

【審査評】
育林活動を通じて森林の持つ多様な機能、生態推移、地域社会との関連等を肌で学習されていますね。

札幌市立米里中学校科学部と3学年
[フードリサイクル堆肥をつかった栽培実験と学級畑]

「廃棄食材」と「食」の循環を学ぶ

札幌市から支給されるフードリサイクル堆肥を使った土で作物を栽培し、堆肥の効果を測定。「廃棄食材」と「食」の循環を体験的に学び、環境保全意識が養われました。野菜を作る苦労と収穫の喜びを知ることも大切な学び。環境美化の意識も高まり、校地内のゴミも減りました。学級畑が後輩にも受け継がれることが生徒たちの願いです。

【審査評】
食べ物を育てる体験は実に貴重。堆肥と土作り、植物と食虫の生命力への気づきと学びになることでしょう。

札幌市立平岸中学校
[平岸中 エコ行動「見える化」節電プログラム]

教室でできるエコアクション

学校の太陽光発電システムについて過去5年間の電力消費状況をグラフ化して分析。空き教室の消灯や休日の前に電気機器のプラグを抜くなどの節電を全校に呼びかけました。「エコアクションは宝探しみたいなもの」と、センサー照明のトイレでたむろしない、給食を残さずゴミ減量などのエコアイデアをみんなで実践しています。

【審査評】
美化、ごみ減らし、給食を残さない、太陽発電量と消費電力量の比較など多様な取り組みを評価しました。

札幌市立北辰中学校 科学部 チーム有孔虫
[北海道の海洋環境と有孔虫]

生命を育む海の素晴らしさを実感

沖縄の砂浜で見られる「星砂」は有孔虫という生物の遺骸ですが、大気中の二酸化炭素が増えると海が酸性化し、有孔虫は殻を作れなくなります。中学生でもできる簡単な手法で道内各地の砂を観察した結果、石狩湾沿岸で有孔虫を確認。顕微鏡を通して北海道の海の素晴らしさを学び、海洋環境保護の意識を持つきっかけとなりました

【審査評】
海砂の観察から海洋生物が繰り広げてきた壮大なドラマへと関心が広がる環境学習を評価しました。

s審査委員長選表

小林三樹審査委員長

北海道産の食料も観光も良好な環境あってのこと。この地に住む私たち自身、日常生活でもしっかりした意識をもって信頼に応えたいものです。魅力あふれる北海道の山岳地帯は、全ての動植物が頼りにしている水の源でもあります。増えた登山者の落とし物の始末に頭の下がる活動を長年続けている「山のトイレを考える会」が大賞に輝きました。山も海も街もきれいさを世界の模範にしたいものです。自然環境にとどまらず、精神的・文化的環境も大切です。長年、優しいぬくもりを地域社会に広めている「おはよう共同作業所」が努力賞を受けられました。受賞された諸活動を参考に、各自でできる工夫を積み重ね、健全な北海道を将来世代に伝えていきたいものです。