酪農と食と生命への思いを育む。

農・食・環境・生命を学び、農業者としての夢を育む。酪農学園大学は、北海道の農業の礎を築き、その発展を支える学びの場。そこには、若者たちの熱い情熱があふれている。

搾りたてのミルクから生まれる
アイスクリームづくりを体験

彼女たち6人の就農体験は、酪農学園大学の乳製品製造実習室からスタート。ここではアイスクリーム作りを体験しました。ミックスした原料をフリーザーにかけ、滑らかな口当たりを生成。それを充填(じゅうてん)機に入れ、1個1個カップに詰めます。
学生がアイスを詰めた後のカップにフタを閉める作業が、今回の彼女たちのミッション。6人は作業に熱中しました。
1回のフリージング工程で出来上がるアイスは約200個。これらを–30℃の冷凍室でさらに冷やしてから、製品として出荷。酪農学園の大学生協で購入することができます。
このアイスクリームは、生乳を使った天然の味。乳脂肪分が高めなのに、アッサリとして口溶けがよい特徴があります。6人は、笑顔でおいしくいただきました。

つなぎ飼い牛舎で
牛たちの生命の鼓動に感動

酪農学園には、授業や研究のための「フィールド教育研究センター」があります。次に6人が訪れたのはその中の酪農生産ステーションのつなぎ飼い牛舎。敷地内には搾乳ロボットを完備したフリーストール牛舎や、家畜のふん尿からエネルギーと肥料などを得るバイオガスプラントがあります。
二つめのミッションで6人が訪れた牛舎では、牛の体の毛刈り作業が行われていました。作業を行っているのは酪農学園とわの森三愛高校の生徒で、朝5時から牛たちの世話をしているとか。取材日の翌日に乳牛の体型審査があるということで、メークアップ作業は入念。毛刈りされた牛のボディーは何だかスッキリ、ちょっと美人に見えますね。では、6人も牛たちの世話をお手伝い。毛刈りの作業は難しいので、ブラッシング体験をすることになりました。「大きい〜!」「温かい〜!」と言いつつ、初めて触る牛の巨体に少しおじけづきながらも、作業に精を出した彼女たち。体型審査とは“理想の牛コンテスト”のこと。だから、「頑張って!」と思いを込めてブラッシングしました。
担当の先生曰く「ここで作業している生徒は、自分たちの酪農は命に関わる大切な事だという誇りを持ち共同生活しています」。約170頭の牛たちが、若者の真心により育てられているのです。

産まれたばかりの子豚を抱っこ
養豚施設見学は驚きの連続

続いて三つめのミッションを遂行するため、畜産の現場へ。養豚施設のある肉畜生産ステーションを訪れ、豚の飼育を見学します。ここには、50頭以上の豚たちが生育。母豚と子豚のゾーン、丸々と太った肥育豚のゾーンに分かれ、あちこちでブーブー鳴き声を上げています。
「この豚たちは、もうすぐ肉になるよ」担当の先生は、肥育豚たちを指して教えてくれました。生まれたばかりの豚の体重は約1.2kg。それが6カ月後には120kgの体重になり、精肉になるべく出荷されます。もうすぐ肉になる豚たちを見ていると、ちょっと不思議な気持ちになりますが……。
先生の計らいで、6人は子豚を抱っこすることに。おっかなびっくり抱えた子豚は、高いトーンで鳴きわめきます。この子豚たち、雄は生後10日ほどで去勢されるといいます。その理由は、去勢をしなければ肉に臭みがでてしまうから。なるほど豚の世界では、雄は大変なのです。
ここで作業している学生に「豚を飼養していちばんの喜びは?」と聞くと、「出荷するとき」と答えてくれました。「かわいそうという気持ちはない?」と聞くと、「かわいそうとは思わないけど、飼っている豚たちはかわいい」と答えます。家畜の飼養は、おいしい肉になるように育て上げること。畜産農家を目指して真剣に取り組む学生には、6人がまだ知らない思いがあるのだと感じたようです。

馬術部の優雅な立ち居振る舞い
雪原を歩く馬たちの美しさに歓声

豚舎を出てキャンパスを歩いていると、向こうから馬たちのシルエットが見えてきました。酪農学園大学馬術部の部員と馬たちです。登場したのは、いずれもかつて競走馬として走っていたサラブレッド。真っ白な雪の道を優雅に歩く姿に、思わず見とれてしまいます。
あわよくば馬に乗れるかもと思った6人でしたが、さすがに初心者には無理ということで一緒に写真をパチリ。馬のカラダに触らせてもらい、温かさや息遣い、感触を確かめました。
映画「銀の匙 Silver Spoon」を観て酪農に興味を持った高校生の就農体験。6人のリポーターは一様に、動物を世話することの大変さと命の大切さを感じ取ったようです。農・食・環境・生命を学び、農業者としての未来を開く若者たちの学びの場─酪農学園大学。その広大なキャンパスには、いくつもの大きな夢が育っています。

『ch FILES(シーエイチファイルズ)』は、高校生参加型&高校生ターゲットのフリーペーパー。高校生スタッフ有志により、毎月20日、高校生読者と同じ目線でエンタメ情報を届けています。
北海道、東京、名古屋、大阪、福岡の5都市に高校生スタッフが集まる編集部を構え、全国約2300校の高校図書室への寄贈。高校生はもとより、学校の先生方、保護者の方々からも広く支持されています。
http://www.ch-files.net

銀の匙
  • EDIT:北海道新聞社広告局/nu
  • TEXT:高崎 克秋
  • PHOTO:川村 勲
  • 記事公開日:2014年3月4日 朝刊 掲載

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