大村:高校生や大学生は、精神的に不安定になりやすい時期。不安や悩みを抱え込んだとき、どう対処していますか?
中橋:僕は中学の頃、誰からも相手にされていないと思い込み、自分の存在理由を見失っていた時期がありました。でも勉強して高校の特進クラスに入ったことをきっかけに、悩みから抜け出すことに。担任の先生に「君は必要な存在。クラスをリードしていってほしい」と言われ、目の前が開けました。
長谷川:私は悩んだとき、とことん内省して日記に書いてみます。書くことで客観的に自分が見られるようになり、不安になったときに読み返すと大丈夫だと思えるようになるんです。
大村:自分を客観視できるのは成長している証しだよね。悩みを持ったとき、誰かに相談したりする?
黒森:しゃべるのが苦手で、悩みがあったら似たような境遇の人が出てくる映画や小説を見て乗り越える自己解決型。最近は人に悩みを話せるようになってきて、打ち明けて共感してもらう安心感も分かるようになりました。
村尾:高校時代は、バイト先の大人に悩みを相談しました。同世代だと素直に言えないけど、上の世代には甘えることができる。大人を信頼して、聞いてもらっている安心感がありました。
大村:新聞やテレビなどで自殺の記事やニュースを見たり聞いたりしてどう思う?
長谷川:なぜ死を選ぶのか、解決策はなかったのかと思います。見守ってくれる人がいるのに死んではいけない、命は大切だと教えられてきているので、そう感じてしまいます。
中橋:もし友達の家族が亡くなったら…残される人がいるのに、それでも死を選んでしまうのはなぜか? それが分からないことが家族にとってつらいと思う。その友達には、ただ頑張れとしか言えないかもしれません。
黒森:頑張れという言葉、難しいと思う。言われた方は励ましてもらっていると思う一方で、頑張っているのにそう言われると重荷になってしまうのでは。
大村:善意の励ましが、ときに負担になる場合もある。傷ついている友人に声を掛けるのは難しいよね。何と言えばいいんだろう?
村尾:小学6年の時に母を自殺で亡くしているんですけど、僕はあまり特別視されなかったことがうれしかった。さりげない見守りはあったと思うけど、もし態度が明らかに変化していたら嫌だっただろうと思います。
大村:みんな、携帯では通話とSNSやメールの割合はどれくらい?
黒森:通話は1割くらいですね。
村尾:僕は年上の人に相談するときメールというわけにはいかないので、直接会って話しますね。
中橋:いまはメールよりLINEやツイッターを使います。高校生はほとんどLINEだけど、いじめや曖昧な情報が錯綜(さくそう)することもある。相手の気持ちが分からないまま字面だけが広がっていく感じ。大切な話をするときは、直接会って話します。
長谷川:LINEのグループは一斉に送信できるから便利。電話だと一人一人にかけなければならないけど、一度にみんなに見てもらえるのでLINEを使いますね。
大村:LINEは急速に普及したけど、重大な事件が起こったりもする。もしLINEがなくなったら電話に戻れる?
黒森:手軽さを味わっちゃったら、電話に戻るのは難しいですね。
大村:便利さを享受しながらも、肉声の温かさをもっと大事にしてほしいと思う。大切なことは、魂を込めて話さないといけないんだよ。僕は小・中学の頃転校が多く、6年生のときにいじめられていたことがある。そのときは死にたいと思い、眠れないほど悩んで遺書を書いたりもしました。でも、幸いにも心を割って話せる友達がいた。それが救いになったと思います。9回LINEでも、1回はインパクトのある言葉を掛ける。その言葉に癒やされる場合もあるということを忘れないでほしい。