木村局長(以下木村)国際ロータリーは、国際的な奉仕団体ですが、その成り立ちや仕組みについてお聞かせください。
羽部ガバナー(以下羽部)ロータリークラブは、1905年、アメリカのシカゴで誕生しました。青年弁護士ポール・ハリスが仲間に呼びかけ、互いに信頼のできる仲間づくりをと会合を持ったのが始まりです。当初は互恵と親睦が主な目的でしたが、やがて会員が自分の職業を通じて社会に奉仕することに重きを置くようになりました。この精神が、ロータリークラブで最も重要とされる職業をベースとした奉仕活動という考え方です。現在、200以上の国に537地区を設け、会員数は120万人以上。各クラブで独立運営が行われ、たとえば、海外交換留学の実施、児童や青少年の保護育成、身体障害者・天災等に悩む人々、その他国内外を問わず、各種援助を必要としている人や施設等への援助を行っています。
木村国際ロータリーは、今年「LIGHT UP ROTARY~ロータリーに輝きを」というテーマを掲げていますが、このテーマの意図はどのようなもので、羽部ガバナーはどのような思いをお持ちですか?
羽部国際ロータリーのゲイリーC・K・ホァン会長は、テーマを発表するにあたり、中国の思想家、孔子の言葉を引用して「暗闇を呪うよりローソクを灯した方がよい」と訳されました。私がこのテーマから思いついたのは、天台宗を開いた伝教大師最澄の「一隅を照らす此即ち国宝なり」という言葉。社会の片隅にいながら、社会を照らす生活をする人こそが宝である、という考え方です。ロータリーのメンバー一人一人が心の中に火を灯し、120万人が力を合わせれば世界中を輝かすことができる。ロータリーの基本理念「超我の奉仕」に通じる考え方だと思います。
木村国際ロータリーは、地区別にさまざまな経営者やスペシャリストにより構成されていますが、羽部さんがガバナーを務める第2510地区の地域との関わり、地域への取り組みはどのようなものでしょうか?
羽部北海道には二つの地区があり、第2510地区は札幌を含む北海道西部の地区です。さまざまな奉仕活動をする中で、現在は、9月14日のロータリーデーの実施を重点課題として取り組んでいます。当日は、ロータリーが四半世紀かけて取り組んでいる「ポリオ撲滅」に向けて札幌市内14カ所で街頭募金を実施。その後、札幌パークホテルにて市民の方に向け、医学博士・江崎柳節さんによるポリオ撲滅への記念講演、落語家・桂枝光さんによるロータリー寄席、ジャズシンガー・SHANTIさんを迎えたチャリティーコンサートなどを開催します。
木村そのほか第2510地区では、どのような活動に力を入れていますか?
羽部地区内には70のクラブがあり、たとえば、私が所属するクラブでは「親子暗唱大会」という朗読イベントを開催し、さらに医師、弁護士、司法書士、税理士などさまざまな専門家を集めて「なんでも無料相談会」も開催する予定です。そのほか、町ぐるみのキッズキャンプ、スポーツ振興イベント、チャリティ事業、子どもたちを支える奨学金など、各クラブで地域に根ざした独自の活動を行っています。また、国際奉仕活動として、識字率向上のために、発展途上国の図書館へ本の寄付を行っています。
木村さまざまな奉仕活動を通じて、地域で、世界で、豊かな心を育んでこられた国際ロータリー。第2510地区の未来計画についてお聞かせください。
羽部これまでより広報活動に力を入れ、地域のみなさんにロータリーの活動を広く知っていただきたいと考えております。そして、次代を担う人づくりとして、若い方々にロータリーに参加していただき、さまざまな場面で活躍してほしいですね。これからは植樹や街の美化などに使う財源を確保し、次世代に引き継ぐ計画を立てていこうと思います。そして、ポリオ撲滅に力を入れるのは全クラブとしての課題。ポリオ撲滅にも、地域活性化にも挑戦していくことが、私たちの未来計画です。
ポリオウイルスは人の口の中に入り、腸の中で増え、便から他人に感染します。乳幼児が多くかかり、死亡したり、手や足の麻痺が一生残ることもあります。特効薬がないため、ワクチンによる予防が重要です。
国際ロータリーは、1979年からポリオ感染防止に関わり、“世界ポリオ撲滅推進計画”に参加しております。80年以来日本では、感染の報告がありません。世界では、88年に35万人だった感染者数が、2012年には99%以上滅少し、撲滅寸前になっていました。
しかし、最近またポリオが増えており、本年5月5日、WHO(世界保健機関)は「このままではポリオ根絶が失敗に終わる」と警告しています。ポリオが再び世界中にまん延する危険性があります。ポリオ発生国の感染を食い止め、世界的な流行を阻止することが重要です。
いまこそポリオ撲滅のときです! 皆さまのご協力で未来の子どもたちにポリオのない世界を!