子どもの事故例に学んでスタート
0歳から19歳までの子どもたちの死亡原因の第1位は不慮の事故によるものです。
小さな子どもたちの誤飲や転倒、転落といった不慮の事故による死は痛ましいものですが、
この40年以上もの間、死亡原因の第1位であり続けているのです。
なぜこうしたことが起こり続けているのかということについて、
経済産業省、産業技術総合研究所が、
子どもたちの事故原因を収集しデータ化したのですが、
データを産業界に戻し製品開発に役立てていくプラットフォームが
必要だということでキッズデザイン協議会が立ち上がりました。
子どもの事故例に学ぶという視点から始まったキッズデザインですが、
アプローチは子ども向け商品のデザインだけを指しているわけではありません。
大人が使う商品の開発プロセスにも子ども目線を取り入れることによって、
安全で快適な社会をつくっていこうとする呼び掛けなのです。
近年になって、ユニバーサルデザインや、
サステイナブルデザインといったデザインアプローチの有効性が知られていますが、
キッズデザインは、未来を担う子どもたちを起点としている点で
デザイン思想の根幹をなすものと考えています。
普段子ども用品を手掛けていらっしゃらない企業や事業者の方々にこそ、
こうした視点で商品開発をしていただきたい。
データベースを産業界全体で共有化することによって、
事実に基づいた新しいデザインが可能になります。そのことによって、
子どもたちだけでなく、社会全体に優しいものづくりができるということを
知っていただきたいと思います。
日本発のデザインが新しい競争力に
キッズデザインという概念は、日本発のオリジナルです。
安全性のガイドラインをもとにした認証制度を秋口にはスタートする予定です。
このガイドラインは将来的には国際標準化を目指していますので、
日本のものづくりがこのガイドラインに基づいたアプローチでつくられていけば、
大きな国際競争力につながります。
たとえば北海道という気候風土に根差したキッズデザインを発想したとき、
そのものづくりは、世界の寒冷地で使われる先駆的商品になる可能性があります。
北海道ならではの提案をぜひ期待したいですね。
高橋 義則
(たかはし よしのり)氏