冬の災害への心構えを育む。

冬季体験型防災イベント ぼうさいタウン

火災が起きた時には、初期消火がとても重要。阪神・淡路大震災でも、市民のバケツリレーによる消火活動が大きな力を発揮しました。参加者は、水入り消火器での消火器体験に加え、延焼防止のためのバケツリレーを力を合わせて行いました。

火災時の煙の怖さを疑似体験し、煙の特性や危険性を学ぶ煙体験テント。煙で前が見えない中、姿勢を低くして進む安全な避難方法と冷静な判断力、行動力を養いました。

冬の災害時に暖房が利用できない状況を想定した車中泊を疑似体験。冬の北海道では、車内の温度はマイナス10度以下まで冷え込みます。エンジンを切った状態で寝袋や防寒着などでいかに寒さをしのげるかを体験しました。

冬の避難所生活でいちばんの問題は寒さ。床からの寒さを防ぎ、就寝中の快適性を高める、ダンボール製の簡易ベッドを組み立て、暖かさや便利さを実感しました。

避難所生活の大変さを疑似体験

 会場の大ホールには一面にブルーシートが敷かれ、まさに避難所さながら。参加者はグループごとにシートに座り、避難所生活の疑似体験が始まりました。
 まずは日本赤十字北海道看護大学の根本教授による「冬の災害を生き抜くための知識と行動」をテーマにした基調講演を実施。講演途中には避難所でのプライバシーを守るダンボールパーティションづくりも体験し、参加者は避難所生活の大変さを実感しながら、冬の災害の怖さと防災への心構えや備えの大切さを学びました。
 講演の後はグループに分かれ、さまざまな防災プログラムを体験。簡易担架づくりと搬送体験やダンボールベッド体験。バケツリレーでは、力を合わせて行動することの大切さを、煙体験や一次救命処置では、いざというときに、いかに的確に行動するべきかを学びました。炊き出しコーナーでは、寒さの中で豚汁とおにぎりを味わいながら食の大切さを実感したことでしょう。
 今回のプログラムは、普段は体験できないものばかり。参加者のみなさんは真剣に取り組みながら、防災への意識を高めていました。

防災イベントの様子
基調講演から
北海道の冬の災害に備えて、万が一を生き抜くための知識と行動をしっかりと

災害は常に想定外、普段からの対策が必要です。複雑なプレート上に位置する日本は、どの地域で大きな地震が発生してもおかしくありません。札幌で震度7以上の直下型地震が起こった場合、冬季では死者が8,000人以上、うち6,000人以上が凍死すると想定されています。冬季被災では、低体温症に要注意です。動かずに冷気を受け続けると発症し、毛布などで暖める、温かい飲み物を飲ませるなどの処置が必要です。体育館などの避難所は、床下からの冷気が強く、全体を暖房することは困難です。周囲のノイズなどによる精神的ストレス、インフルエンザなどのリスクもあります。車中泊ではエコノミークラス症候群に注意が必要です。災害に備えて、自宅にはカセットコンロなど電気やガスがない生活に備えたグッズを揃えましょう。特に「水」の確保は必須。車の中にも寝袋や手回しラジオなどを常備したいものです。万が一のときには、みなさんの知恵を活かすことが大切です。キャンプで野外生活を体験するなど、日頃から防災対策を心がけましょう。

防災イメージ
  • EDIT:北海道新聞社広告局/nu
  • TEXT:高崎 克秋
  • PHOTO:川村 勲ほか
  • 記事公開日:2016年12月4日 朝刊 掲載

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