北海道は土地面積の約7割が森林で、全国の森林の4分の1を占める“森の大地”です。その森林のうち、約3割は人の手によって管理している「人工林」。その約9割7分は北海道を代表する針葉樹であるトドマツやカラマツ。これらの木は成長が早く加工しやすいため、住宅建材などに活用されています。人工林では苗木を植栽し、下草刈りや間伐などの手入れを行い、成長した木を伐採して主に木材として利用し、再び苗木を植えて育てていきます。この「植える・育てる・切る・使う」サイクルを繰り返すことが私たちの暮らしに木材を供給し、健全な森を育てることにつながっていきます。ところが、北海道の人工林ではこの34年間で木材の蓄積が5.4倍に増加。こうした状況の背景には、安価な海外木材の輸入増加によって地元の木材資源が有効に使われていない現状があります。このままでは森林サイクルが滞っていい木が育たなくなり、質の良い木材が北海道に出回らなくなってしまいかねません。
かつて夕張など道内の炭鉱では、北海道で切り出されたカラマツが坑木として使われていました。樹脂が多いカラマツは丈夫で腐りにくく、地中の坑道をしっかりと支えるのに適していたのです。その一方、カラマツは回旋しながら成長するためねじれや反りが出やすく、住宅建材としては敬遠されていました。しかし近年、北海道立林産試験場が優れた乾燥および加工技術を開発。強度が高く狂いの少ないカラマツ建材を住宅に用いることが可能になりました。
北海道の木を使って北海道の家を造る。実はこれがとても大切なことなのです。現在広く流通している安価な海外木材には、違法伐採された産地不明の木材が多く、法的にも品質的にも問題があります。また、世界の森林減少に拍車を掛けている現実も無視できません。さらに輸送時間が長いためたくさんの防腐剤が使われており、有害成分の揮発による人体への影響が心配されます。一方、北海道の木は産地が明確な合法木材であり、短時間で輸送できるため防腐剤が要りません。だから安心して家造りに使えて、健康的な住空間が生まれます。北海道に蓄積している木材資源を北海道の家造りにどんどん活用すれば、住宅産業とともに林業や木材産業も活性化。木を育てたり加工したりする人の雇用が生まれ、さらに質の良い木が道内に流通するようになり、森林とともに北海道の経済も豊かに潤っていきます。北海道の木は、北海道の暮らしにも経済にも環境にもいいこといっぱい!地域で生産された木材を地域で消費する=「地材地消」の発想で、北海道の木を積極的に活用していきたいものです。
世界最古の木造建築である奈良の法隆寺には地元の吉野ヒノキが、国の重要文化財である沖縄の中村家住宅には地元のチャーギ(イヌマキ)が使われています。その土地の建築にはその土地の木が最適であることを、古くから日本人は心得ていました。北海道にもカラマツやトドマツ、北海道の杉といった、素晴らしいふるさとの木があります。とくにカラマツは、高度な木材加工技術によって構造体に適した強度と品質を実現。トドマツや道南杉は軽くて空気を含みやすく、内装に使うと見た目にも体感的にも暖かさを実感できます。「北海道の木を使って北海道の家を造る」という選択は、ごく当然といえるでしょう。
食の安全が問われる昨今、産地がはっきりしていて新鮮な地場産の食材を食べる「地産地消」は当たり前になりました。それは「住の安全」にもいえること。いつどこで切り出されたか分からない輸入木材に囲まれた住空間で、防腐剤が揮発していく空気を吸いながら、長い人生を安心して暮らしていくことができるでしょうか? 厳しい気候風土に耐えて成長する強さを備え、防腐剤無添加で加工された北海道の木に守られて暮らす安心感。これこそが「地材地消」の価値なのです。当社は道産材100%住宅を通して、本当に安心できる暮らしを北海道の皆さまへお届けしてまいります。
国および北海道では、木材や木材製品の産地や合法性を証明する「合法木材証明制度」を導入しています。また、道木連ではJAS認定を受けた道産木材を使用した住宅建設を「北の木の家」として認定。住宅ローン金利の優遇措置を設けています。きちんと管理されている北海道の木だからこそ安心で健康的な住空間と金利メリットを提供でき、木材関連産業の活性化にもつながります。木材や木材製品を選ぶ際には、合法木材証明やJAS認定をぜひチェックしていただきたいですね。平成25年度からは国産木材を使った住宅を対象としたエコポイント制度も開始予定。「地材地消」にますます注目が集まりそうです。