全国74か所に約4万4,000ヘクタールの社有林を保有し、林業の推進、豊かな森づくりに取り組む三井物産。今回のツアーは、同社が所有する似湾山林が教室です。参加した親子は4チームに分かれて、三井物産フォレスト(株)のスタッフと共に森の中へ出発。移動する途中でクワガタなどの虫を見つけたり、木や植物に触れて観察するなど、生きている森に親しんでいきました。
作業現場に着いたら、間伐にチャレンジ。スタッフから「成長が悪い木を伐って光を当てることは、豊かな森の植生を守るために必要なことです」と教えてもらい、光が当たる場所と当たらない場所の木の成長の違いを目の当たりにして、一同は間伐の大切さを実感しました。子どもたちは慣れない手ノコに苦戦しながら、交代で間伐に熱中。やがてメリメリと音を立てながら木が倒れ、子どもたちの歓声が響きました。
伐採から枝払い、玉切りまでの作業を一貫して行う高性能林業機械ハーベスタ。思わず息を飲む圧巻の迫力でした
森の中のプログラムの最後は植樹体験。地面に穴を掘り、トドマツの苗木を1本ずつ植えていきます。
この日、子どもたちが間伐した木の年輪は約50年。子どもたちが思いを込めて植えた木々は、みんながおじいちゃんやおばあちゃんになるころ、見上げるほどに成長し、豊かな森を形成することでしょう。生きている森の豊かさに触れた子どもたちは、日常では体験できない大切なことを学んだのです。
森を出た一行はバスに乗り、苫小牧バイオマス発電所ほかへ出発。ここでは森林で伐採された木をさまざまなカタチで活用する事業が行われています。広大な敷地の中を、バスで移動して見学。廃材から生成されるホモゲン(パーティクルボード※)を製造するイワクラの工場を経て、発電棟のチップヤードで降車しました。目を見張ったのは、うず高く積まれた木材の山。建材などには使えない道内産の未利用木材で、ここから生成される木質チップを燃料として発電されます。「3,000本分の丸太で、1万世帯の1日分の電力をまかないます」というスタッフの説明に、みんな興味しんしんでした。
※木材の小片に合成樹脂接着剤を塗り、加熱圧縮して成形した板。
バスの中でバイオマス発電の仕組みを学び、現場では燃料になる丸太の山を目の当たりにしました
植樹を終えて、参加した親子は大満足の表情で集合。生きた森に触れ、林業を通じて森の手入れをする大切さを学びました
●石狩市
武田 美咲さん(6年生)
間伐やコースターの木を切るのがとても楽しく、上手だね、速いねとほめられてうれしかったです!
武田 由季さん
植樹に参加できたのがうれしかったですね。少しでも、誰かのために、地球のためになればと思います。
●江別市
徳重 達也さん(5年生)
間伐で木を倒すのが、迫力があって面白かったです。コースターは、お母さんと2人で使います!
徳重 明美さん
人が踏み入れない森に入ってみたかった。自然と人の力が、森を育てていると感じました。
子どもたちに、もっと森を身近に感じてほしい。
森の中では、時間や距離の長さを感じない不思議な感覚を実感し、パソコンなど普段の都会的な物事を一切忘れることができました。木を伐り倒すという専門的な作業を目の当たりにして、ちょっとワクワクした気持ちに。バイオマス発電では、木をエネルギーに活用するというほかでは見られない現場を実感することができました。普段は都会で暮らしている子どもたちが、森の中で自然に楽しんでいたのが印象的。いかに大人がそういう場面をつくっていないか。
大人は山に行くのは大変だと思うけど、子どもにとっては当たり前のことかもしれない。生活の楽しみとして、職業として、子どもたちにもっと森を身近に感じてほしいと思いました。