全国74カ所に約4万4000ヘクタールの「三井物産の森」を保有し、木材産業の推進、豊かな森づくりに取り組む三井物産。今回のツアーは、同社が所有する似湾山林で行われました。現地へ向かうバスの中では、AIR-G'アナウンサー・千葉ひろみさんが進行役となり、NPO法人「ねおす」の宮本英樹さんと東京から参加した三井物産のスタッフが、フィールドツアーの内容や日本の森林事情、森の役割についてレクチャー。「日本の国土は約7割が森林で、そのうち2割が北海道の森。森林の木々は、酸素を生み出し、動植物を育み、建物や家具ほか生活のさまざまな場面に用いられています。私たちは森に生かされているのです」。参加した親子は、森の大切さ、奥深さを学びました。
現地では三井物産の森の管理を行う三井物産フォレスト(株)のスタッフとともに4チームに分かれて、森の中へ出発。木々を観察しながら移動する途中で昆虫を見つけたり、拾った枝をつないで長さを競うゲーム、袋の中の植物を触って当てるゲームなどを親子で楽しみました。「大切なのは、触ってみること。普段は使っていない五感を使って、生きている森を体感してください」と宮本さん。一同は木々の匂いを嗅ぎながら、森に親しんでいきました。昼食の後は、いよいよ木を間引く間伐作業。「森には、明るい森と暗い森があります。暗い森は、木の間隔が狭く、日光が当たらず成長できない木が生じ、動植物も少ない。健康な木を育て、森の環境を保全するために、間伐作業は不可欠なのです」。スタッフの説明から、適切に木を切ることは、健全な森を育むということを学びました。手ノコで行われる間伐は、子どもたちには大変な作業ですが、交代で作業を続けるうちに、やがてメリメリと音を立てながら木が倒れ、間伐完了。子どもたちの歓声が響きました。さらに、木を輪切りにするコースターづくりを体験し、短時間で木を伐倒して丸太に加工する高性能林業機械ハーベスタのデモンストレーションを見学。伐採した木がさまざまなカタチで活用され、「木は二度生きる」ことを体感しました。
プログラムのラストは植樹体験。地面に穴を掘り、トドマツの苗木を1本ずつ植えていきます。この日、みんなが伐採した木の年輪は約50年。子どもたちがおじいちゃん・おばあちゃんになる頃、植えた木は見上げるほどに成長し、豊かな森を形成することでしょう。間伐と植樹を繰り返すことで森が育まれ、その森が自分たちの暮らしや地球環境を支えていることを学んだ子どもたち。森の中で自然を体感し、その表情は清々しく、のびのびとした笑顔があふれていました。
●札幌市
南 千春さん(5年生)
木を切ったり、植えたり、いろいろな体験ができて面白かった。固い木に驚きながら、コースターを3個つくりました。
[南 二葉さん]
樹齢が同じでも、日当たりによって木の太さに違いがあることに驚き。子どもと一緒に楽しい時間を過ごすことができました。
●苫小牧市
石山 彩華さん(6年生)
間伐で固い木を切るのがむずかしかった。コースターづくりは、大きな木でなべしきに。森の中はとても気持ちがよかったです。
[石山 晃宣さん]
娘と一緒に自然の中を歩いてみようと応募。虫にビビリながら、娘はとても楽しそう。林業の大切さを深く知ることができました。
●札幌市
背戸 遥さん(4年生)
知らなかった森のことをたくさん教えてもらい、来てよかったと思います。面白かったのは木の伐採。カブトムシを見つけました!
[背戸 幸枝さん]
普段は子どもと過ごす時間が少ないので、遅めの夏休みを一緒に楽しもうと参加。これからも森に親しんでみたいと思いました。
森の中では、世代を超えて共通の体験ができる。
ツアーの回を重ねる度に参加した親子の意識が、以前は「植樹したい」が大半でしたが、今回は「切ってみたい、使ってみたい」が多くなっていました。学校などで行われている「木育」の効果でしょうか。森は、世代を超えて共通の体験ができるところ。「人は木に生かされている」ということを、ときに森の中で再認識してほしいですね。
森に入ると、子どもはのびのび育つ。
印象的なのは、森に入ると、子どもたちが笑顔になること。朝の出発では乗り気でなかった子も、最後には心から楽しんでいる様子でした。森のフィールドツアーは、普段は絶対に見ることのできない林業の一端に触れ、木を伐採する、植樹するといった体験を通して、生活の中に森からの恵みがあふれていることを思い出させてくれる体験。森に入ると、子どもはのびのび育つ。できれば森とともに生活してほしいと思います。読者のみなさんも、機会があれば林業の現場を見たり、森に入って木々の大切さを体感してほしいですね。