特集 北海道エコ・アクション

三井物産の森「似湾山林」森のフィールドツアー2015

生きている森を知る冒険の旅が始まる!

 全国74か所に約4万4000ヘクタールの社有林を保有し、林業の推進、豊かな森づくりに取り組む三井物産。今回のツアーの教室は、同社が保有する似湾山林です。バスの中では、AIR-G’アナウンサー・千葉ひろみさんが進行役となり、LEAF(北欧森林環境教育)公認インストラクターの宮本英樹さんと三井物産のスタッフが、日本の森林事情や森の役割についてお話ししました。「日本の国土の約7割は森林。先進国の中では、世界第2位の森林率です。日本の森の木々は戦後に多く植えられ、50〜60年経って大きく育っています。森は木が混みあうと太陽の光が入らなくなり、動植物が育たない荒れた森になっていきます。それを防ぐためには、混みあった木を間伐する手入れが必要。適切に木を切ること、そして木から生まれる製品を使うことは、森のために大切なことなのです」。森を愛するお二人のお話を、参加した親子は熱心に聞き入っていました。

手ノコに苦戦しながら力を合わせて間伐!

 現地では4チームに分かれ、三井物産フォレスト(株)のスタッフと共に森の中へ出発。移動する途中でカナヘビを見つけたり、木の葉や松ヤニに触れて観察したり、酸っぱい山ぶどうを食べて顔をしかめたり、子どもも大人も楽しみながら、生きている森に親しんでいきました。「森に入ったら、五感を使うことが大切です。見て、聞いて、匂いを嗅いで、触って、森を感じてください」と宮本さんはアドバイスします。
 昼食の後は、いよいよ間伐作業にチャレンジ。スタッフは「成長が悪い木を切って光を当てることは、豊かな森の植生を守るために不可欠なことです」と言いながら、昨年伐採した箇所の土の様子を見せてくれました。見ると、光が当たる地面に植物が育っています。光が当たる場所と当たらない場所では、その違いは歴然。一同は、間伐の大切さを実感しました。
 子どもたちは慣れない手ノコに苦戦しながら、交代で間伐作業に熱中します。やがてメリメリと音を立てながら木が倒れ、子どもたちの歓声が響きました。その後、7種類(ミズナラ、キハダ、エンジュなど)の丸太を手ノコで輪切りにするコースターづくりを体験。さらに、短時間で木を伐倒して丸太に加工する高性能林業機械ハーベスタのデモンストレーションを目の前で見学し、林業の現場で使われる機械のパワフルな作業の様子に目をみはりました。

未来の森を夢見てみんなで苗を植樹!

 プログラムの最後は植樹体験です。地面に穴を掘り、トドマツの苗木を1本ずつ植えていきます。この日、子どもたちが間伐した木の年輪は約50年。みんながおじいちゃんやおばあちゃんになるころ、植えた木は見上げるほどに成長し、豊かな森を形成することでしょう。間伐と植樹のサイクルの中で森が育まれ、その森が私たちの暮らしや地球環境を支えていることを学んだフィールドツアー。生きている森の自然を体感し、「木づかい」の大切さを学んだ子どもたちの心は、木々のように伸び伸び成長することでしょう。

植樹を終えて、参加した親子は大満足の表情で集合。
生きた森に触れ、自然の豊かさを学ぶ、貴重な体験をした一日でした。


●小樽市
 中村 蓮さん(6年生)

森は手入れが必要だということを学ぶことができました。木の種類をたくさん知れて楽しかったです。

中村 紘子さん

間伐の大切さや木が生きているというお話が印象的でした。プライベートでも森を歩いてみたいですね。

●札幌市
 國分 咲楽砂さん(4年生)

つくったコースターは全部で7個。家族みんなで使います。間伐のことが勉強になりました。

國分 徹也さん

生きた森に触れる、普段では体験できない貴重な機会でした。純粋に木を切ることが楽しかったですね。

●札幌市
 福村 こころさん(4年生)

手ノコで木を切るのが大変でした。つくった3個のコースターはお家で使います!

福村 美由紀さん

間伐で、木が音を立てて倒れる様子が圧巻。年輪を見て木が育つ時間の長さを実感しました。

子どもたちに、フォレスターを目指してほしい。

最近は台風などの災害が頻発していますが、森をしっかり管理することは災害の防止にもつながります。「木は二度生きる」といわれ、緑の木々も木材の木々も、全体として自然を守ることになる。森に携わる仕事は、総合的な能力を要します。体力も必要だし、理科や数学、社会などの幅広い知識が必要。子どもたちには、森に携わる仕事、フォレスターを目指してほしいですね。

森に触れて、元気になっていった子どもたち。

今回のツアーに参加した子どもたちは、初めはおとなしかったけど、森を歩いたり、木を伐採したり、コースターづくりをしていくうちに、尻上がりに元気に。慣れない手ノコを使って、一生懸命作業に取り組むみんなの姿が印象的でした。初めて森に触れたことで、心が開放されていったのかなと思います。毎年この森で植樹していますが、5年前に植えた木が大きく育っている様子を確認できたことがうれしかったですね。森の中を歩くことは、日常生活ではできない貴重で豊かな体験。参加するたびに、森の大切さを学び、心がリフレッシュします。

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