特集 北海道エコ・アクション

環境出前授業~身近な「木づかい」を感じよう~レポート

子どもたちが環境や地球の未来について考える機会を提供する、北海道エコ・アクションの「環境出前授業」。2月28日(土)に札幌市教育文化会館で行われた授業では、全国に社有林を保有し森を守り、育てている三井物産の担当者から「森」のお話と、木で楽器を手づくりする伊藤英円さんのお話と演奏を聴きました。木を「育てる」「使う」というふたつの視点から、私たちの生活や文化について子どもたちはどのように考えたのでしょうか?

三井物産の森三井物産は林業を行いながら長い年月をかけて森を守り、育てています。保有する社有林は全国74ヵ所・総面積約4万4千ヘクタール、その8割は北海道にあります。これらの森は林業として適切に管理するとともに、森林環境プログラムや社会貢献活動など多面的な活用も行っています。

1時間目 三井物産『森のめぐみと林業』

三井物産 環境・社会貢献部 斉藤 江美さん

三井物産フォレスト 帯広山林事務所 細島 彩起子さん

 1時間目は三井物産の斉藤江美さんと、森の管理をする三井物産フォレストの細島彩起子さんが先生。木材や紙、燃料、水や食糧、動物たちのすみか、さらにはCO2の吸収など、さまざまな恵みをもたらしてくれる森。日本は世界有数の森林大国ですが、手入れを怠れば森はどんどん荒れてしまいます。苗木を植え、下刈りと裾枝払いで成長を促し、適正な間伐を行う。そして大きく真っすぐな木を育て、伐採してさまざまな形で暮らしに役立てる─林業は50〜60年にも及ぶサイクルを続ける息の長い仕事ですが、そのおかげで豊かな森が未来へ受け継がれていくのです。

 子どもたちは高性能林業機械「ハーベスタ」の動画を見たり、チェーンソーのおもちゃに触ったりしながら林業に興味を持った様子。適切な森林管理を証明する「FSC認証」マークが表示された製品を選ぶことが森を守り、林業を応援することにもつながると知り、これからは木材製品への見方がちょっぴり変わりそうです。

2時間目 ライア奏者 伊藤英円(いとうひでまる)さんの特別講演『手づくりの楽器とその音色』

英円楽器 伊藤 英円さん
1962年釧路生まれ。飲食店経営、デザイナーを経てライア作家に転身。2007年に美唄市に工房を構える。制作したライアの演奏者であり、演奏会・教室・講座等も開催。4児の父。

 美唄市で楽器工房を営む伊藤英円さんが2時間目の先生。英円さんの作る弦楽器「ライア」の本体は北海道産のエゾイタヤ。木の細胞をできるだけ潰さない乾燥にこだわっている道内の製材会社と心通わせおつき合いしているそうです。森が育み、職人さんが丁寧に製材した木は、英円さんの手によって楽器という新たな命が吹き込まれていきます。森と人の共同作業から生まれるライアは柔らかな形でやさしく手になじみ、繊細で透明な音色は森に降り注ぐ木もれ日のよう。
 英円さんのライア演奏を楽しんだあと、子どもたちは別名“親指ピアノ”と呼ばれる木の楽器「カリンバ」と楽器の端材を使って道産の穀物を入れた「マラカ」でセッションに挑戦。シンプルなリズムが重なり合って生まれる不思議な音のうねりは、楽器に宿る森のぬくもりと、楽器を通じて人とつながる感動を子どもたちの胸に刻んだに違いありません。


ライア
ライアとは、竪琴(たてごと)、元々は弦楽器の祖。手元で漂い、静かにきらめく音色を特徴としている。
カリンバ
金属棒を親指で弾いて演奏するアフリカの民俗楽器。「ハンドオルゴール」「サムピアノ」とも呼ばれる。
マラカ
木の実など中空の球の中に種子や小石を入れた中南米系の楽器。複数形で「マラカス」と呼ばれる。

参加してくれた方のコメント

札幌市北区 金子 尚世さん楽器を楽しむことで森とつながるってすてきですね。木製品を使う意味を考えるきっかけになればと思います。

【虹聖くん[小学4年]】抽選でカリンバが当たりました!森の中で弾いているみたいな音が気に入りました。

札幌市西区 虻川 良太郎さん林業の様子を具体的に知ることができ、親子ともども森林保護を考えるきっかけになりました。

【日菜子さん[小学5年]】林業で余った端材もペレットになると知り、切った木をムダなく使う工夫がすごいと思いました。

【太一くん[小学3年]】木の楽器はツルツルの手触りが気持ちよかった。林業は時間がかかるので大変な仕事だと思いました。

札幌市東区 三郷 恵子さん音色にひかれて娘に名付けた「ライア」を初めて弾いて大感激。楽器に込められた森への思いを感じました。

【らいあさん[小学5年]】トンボの調査でよく森に行きます。木の楽器を弾くと体に響いて、木は生き物なんだと思いました。

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