特集 北海道エコ・アクション

環境出前授業&~レポート

3月1日(火)、苫小牧市立北光(ほっこう)小学校で北海道エコ・アクションの「環境出前授業」が行われました。参加したのは卒業式を間近に控えた6年生の児童48人と保護者の皆さん。全国各地の社有林「三井物産の森」を守り育てている方々のお話を聞き、木育デザイナー・煙山泰子さんと一緒に「木のタマゴ」を作りました。森への「気づかい」と暮らしの「木づかい」を学んだ1日は、小学校最後の良い思い出となったようです。

1時間目 三井物産『森のめぐみと林業』

三井物産フォレスト(株)平取山林事務所 細島 彩起子さん

三井物産(株) 環境・社会貢献部 對馬 洋平さん

 1時間目の先生は三井物産の對馬洋平さんと、森を管理している三井物産フォレストの細島彩起子さん。日本は世界有数の森林大国ですが、森は手入れを怠るとどんどん荒れてしまいます。木材や紙、燃料、水や食糧、動物たちのすみかなど、さまざまな恵みをもたらしてくれる森を守る仕事、それが林業です。苗木を植え、雑草の成長に負けないように下刈りをし、枝打ちや適度な間伐を行うことで、太陽光が行き渡るようになり、大きくまっすぐな木を育てて伐採し、さまざまな形で暮らしに役立てる。50〜60年にも及ぶ林業のサイクルを繰り返すことで、豊かな森が未来へ受け継がれていくのです。

 子どもたちは伐採から丸太をつくる作業を一台でできる高性能林業機械「ハーベスタ」の映像やチェーンソーのレプリカにも興味津々。みんな今までは「木を切るのはかわいそう」と思っていたようですが、適切な森林管理を証明する「FSCR認証」マークが表示された製品を選んで使う=「木づかい」が森への「気づかい」になると知り、林業や木材加工への見方が変わりそうです。

2時間目 KEM工房主宰・木育デザイナー 煙山 泰子さん「KEMさんの木育教室」

 2時間目の先生は木の遊具や生活用具のデザインを手がけるKEMさんこと煙山泰子さん。木工を通して「木づかい」を学ぶ授業です。今回作る「木のタマゴ」はエンジュ製。エンジュは「延寿」とも書き、長寿や魔除けのお守りにもなる縁起の良い木。この春巣立つ子どもたちへ、KEMさんからの贈り物です。
 まずは木の表面を紙やすりで磨きます。「良い匂いがする!」「ツルツルして気持ち良い!」と子どもたちは作業に夢中。砕いたクルミの油で表面を塗装すると驚くほど深い色とツヤが出て、あちこちで歓声が上がりました。ひも通し金具を付けてリボンを通すと、世界でひとつだけの木のタマゴが完成! KEMさんは、木に触れて厄よけを願うイギリスの風習「タッチウッド」を紹介し、「木に触れると不思議と心が安らぐもの。皆さんも木のタマゴをお守りとして大切にしてください」と締めくくりました。形を変えながら人に寄り添い続ける木の優しさを、子どもたちも肌で感じたに違いありません。

木育デザイナー煙山泰子さん

1955年札幌生まれ。79年「KEM工房」を開設し、「子供たちとかつて子供だった人への贈り物」をコンセプトに、木の遊具や生活用品を製作している。子どもたちが木や森と主体的に関わる心を育む「木育」にも取り組んでいる。

授業を終えて

苫小牧市立北光小学校鈴木 照史(すずき てるふみ)校長

森を守るために木を使うことの意義を学んだ1日でした。私たちの暮らしは50年以上かけて育つ木によって支えられているんですね。子どもたちが木のタマゴにふれるたびにその重みを思い出し、大切な森を次世代へ受け継いでいける大人になってほしいと願っています。

授業を終えて

PTA6学年委員長桔梗原 未佳(ききょうはら みか)さん

目を輝かせて木の遊具に触っていた子どもたちの笑顔が忘れられません。わが家の子どもたちもKEMさんの遊具で育ち、使うほど味わいが増す木の魅力を肌で感じてきました。林業という仕事の意義を学べたことも、子どもたちの視野を広げる良い機会になったと思います。

授業を終えて

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