「フードマイレージ」とは、食料が食卓に届くまでに輸送に要するエネルギーを表した値のこと。輸送に伴って排出されるCO2による環境負荷を量る目安となります。食料の60%を海外からの輸入に頼る日本のフードマイレージは、国別でも国民一人当たりでも世界第1位。このフードマイレージをテレビの電力消費時間に置き換えてみましょう。例えばチリ産の鮭1切れ(70g)なら5時間30分、メキシコ産のアスパラ1束(30g×4本)なら2日間テレビをつけっぱなしにしたのと同等のCO2を排出する計算になります。これに対して北海道産ならどちらもほぼ0。どちらを選ぶのが環境に優しいか、一目瞭然ですね。季節ごとに地元でとれる食材を選び、家庭で調理して味わう。それだけでCO2が減らせて、地元経済の活性化にも一役買えて、出来合いのお総菜より断然ヘルシー! 選んで食べるエコアクション、今夜の食卓から早速始めてみませんか。
NPO法人北海道食の自給ネットワーク
事務局長・大熊久美子さん
フードマイレージの問題は食料自給率40%という日本の食料事情と密接に結び付いています。食料自給力の向上と第一次産業の活性化を目指すNPO法人北海道食の自給ネットワーク事務局長・大熊久美子さんは「食料の輸入や全国流通、レトルト食品やコンビニ食の普及などにより、食卓から地元の旬の味が失われています。食料自給率が高いといわれる北海道も農産物の約70%が道外へ出荷されており、道内自給率もそれほど高いわけではありません。」と指摘します。「四季に彩られた豊かな食生活を通じて環境への意識を深めるためには、次代の命を担う子どもたちへの食育が大切です。地元でとれた旬の食材は栄養価も高くおいしくて、環境負荷も小さくできる。食・体・環境、全てがつながっていることを実感し、”作る“”食べる“を楽しむ心のゆとりを育んでいきたいですね」。NPO法人北海道食の自給ネットワークでは、小学生の食育講座のほか、北海道の小麦や大豆の地産地消を実践するトラスト運動も展開。産地見学ツアーやパンづくり講習会など、生産者と消費者を結び付ける企画を実施しています。”作る“喜びと”食べる“楽しさが一つになって、北海道の食と農を守り支える輪が広がっています。
NPO法人 北海道食の自給ネットワーク
北海道の食と農を守り支えることを目的に、道産の小麦や大豆のトラスト運動、子供たちへの食育活動などを展開しています。